若い頃は前衛芸術家、後半生は文筆活動が主だったけれど、僕はその後半生で赤瀬川さんを知った。
前衛芸術家をやめてから(?)、藤森さんらと建築探偵団をやったり、あと「ニラハウス」(*1)(藤森さん設計)の施主になったり、と、僕らの世界でも名の知れた人だった。
もうだいぶ前になるけれど、その「ニラハウス」が出来るまでの顛末記、「我が輩は施主である」を読んだ時、面白い人だな〜と思って、他の本も幾つか読みあさった記憶がある。
「我が輩は施主である」では、設計者のF森教授に依頼して自邸を作りは始めるのだけれど、F森教授の繰り出す多彩な妙案奇案に巻き込まれながらも楽しんでいる様がおかしい。
赤瀬川さんは、「我が輩は施主である」と言ってる割にどこか受け身なところが愛らしくて、そこに共感できたのかもしれない。
ニュースを聞いて、そんな事を思い出した。
ご冥福をお祈りします。
*1「ニラハウス」
大きな切妻の家で、屋根に、植物のニラが、チョロチョロ生えている。
剛毛というより産毛の様なヒョロヒョロしたニラで、その外観にはちょっと笑みがこぼれてしまう。
画:hiromichi yasuda